配信のお助け記事
🧾 税金のきほん
配信での収益って
確定申告しないといけない?
スパチャや広告収益が入り始めたら、避けて通れない話。
「学生で親の扶養」「社会人の副業」「本業」の3つに分けて解説します。
🌐 この記事は現在日本語のみです / This article is currently available in Japanese only.
この記事は税理士が書いたものではなく、国税庁・日本年金機構などの公開情報をもとにした一般的な解説です。金額は令和7年分(2025年1〜12月の収益・2026年春に申告する分)を基準にしています。税制は毎年変わり、個人の事情で結論も変わるので、最終判断は税務署か税理士に確認してください(相談先はこの記事の最後に)。
先に共通の前提:「収入」と「所得」は違う
確定申告の話で一番つまずくのがここです。配信で入ってきたお金そのもの(スパチャ・広告・メンバーシップ・案件料など)が「収入」。そこから配信のためにかかった費用(経費)を引いた残りが「所得」で、税金や扶養の判定はすべて「所得」で行います。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 経費になるもの | マイク・カメラ・PCなどの機材、配信ソフトや素材の購入費、通信費、家賃や電気代の配信に使った割合分(家事按分)など。機材は10万円未満ならその年の経費、10万円以上は数年に分けて経費化(減価償却) |
| 所得の種類 | 配信収益は基本的に「雑所得」。帳簿をつけて保存し、事業として継続的にやっていれば「事業所得」になり得ます(事務所に雇われている場合は「給与所得」)。「収入300万円以下なら雑所得」と言われることがありますが、正確には帳簿を保存していれば金額にかかわらず事業所得と認められ得るというルールです |
| いつの分を申告? | 1月1日〜12月31日の1年分を、翌年2月16日〜3月15日に申告(令和7年分は2026年3月16日が期限)。収益は「振り込まれた月」ではなく「確定した月」で数えるのが原則 |
根拠: 国税庁 No.1500 雑所得 / No.2210 必要経費(家事関連費) / No.2100 減価償却 / 所得税基本通達35-2
🎒 学生・親の扶養に入っている人
一番気をつけたいのは「自分の税金」より「親の扶養から外れること」です。バイトの「103万円の壁」は有名ですが、配信収益には給与の控除が無いので、判定ラインがまったく違います。
① 扶養から外れる金額(令和7年分)
| あなたの状況 | 親の扶養に入っていられる上限 | 補足 |
|---|---|---|
| 配信収益だけ | 所得 58万円以下 (収入−経費 が58万円以下) | 令和6年分までは48万円。バイトの「123万円」は給与の65万円控除込みの数字なので、配信収益には当てはまらない |
| バイト+配信収益 | 「給与収入−65万円」+「配信の所得」が 58万円以下 | 例:バイト年80万円(→所得15万円)なら、配信の所得は43万円まで |
| 19歳以上23歳未満(大学生世代) | 所得58万円を超えても123万円以下なら「特定親族特別控除」で親の控除が段階的に残る | 所得85万円までは親の控除が満額(63万円)、そこから段階的に減り、123万円超でゼロ。給与なら「150万円の壁」と呼ばれるもの |
経費を引けるのが配信収益の特徴。たとえば収益80万円でも、機材・ソフト・通信費で25万円かかっていれば所得は55万円で扶養の範囲内です。レシートと振込記録は必ず残しておくのが、学生配信者の最重要習慣です。
② 扶養から外れると何が起こる?
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 親の税金が増える | 親は扶養控除(一般38万円/19〜22歳は63万円)を失う。親の税率が20%の場合の概算で年間約11万円〜17万円の増税。親の会社の家族手当が止まることも |
| 健康保険の扶養からも外れることがある | 税金とは別の基準で、年収130万円未満(19歳以上23歳未満は令和7年10月から150万円未満)が目安。外れると自分で国民健康保険に入る。※配信収益の「収入」をどう数えるか(経費を引いてよいか)は健康保険組合ごとに違うので、親の加入先に確認 |
| あとから発覚すると面倒 | 親が年末調整で扶養にしたままだと、後日まとめて親に追徴が来る。超えそうなら早めに親に伝えるのが一番トラブルが少ない |
③ 学生ならではの注意
- 自分の確定申告:扶養に入っていても、配信の所得が基礎控除(令和7年分は所得132万円以下の人で95万円)を超えれば申告義務があります。未成年でも年齢に関係なく同じです
- 勤労学生控除:バイトをしている学生向けの控除(27万円)ですが、「勤労以外の所得が10万円以下」という条件があり、配信収益がある場合は使えない可能性があります。該当するか税務署に確認を
- 国民年金(20歳以上):学生納付特例で猶予できる。所得が増えても一定額以下なら対象
- 住民税:所得税の申告が不要でも、住民税は自治体への申告が必要な場合がある(確定申告をすれば自動で連携)
根拠: 国税庁 No.1180 扶養控除 / No.1177 特定親族特別控除 / No.1175 勤労学生控除 / 日本年金機構(被扶養者の収入基準・19〜23歳未満150万円) / 学生納付特例
未成年の配信そのもののルール(年齢制限・収益化の条件)は 「未成年の配信ルール早見表」、収益化の仕組みは 「VTuberのお金の仕組み」にまとめています。
💼 社会人で、配信は副業
会社員・アルバイトなど給与をもらっている人の副業には「20万円ルール」があります。ただし「20万円」は収入ではなく所得(収入−経費)、そして所得税と住民税で扱いが違う、の2点がよく誤解されます。
① 確定申告は必要?
| 配信の所得(年間) | 所得税の確定申告 | 住民税 |
|---|---|---|
| 20万円以下 | 原則不要(給与1か所・年末調整済みの場合) | 必要。金額にかかわらず市区町村へ「住民税の申告」をする |
| 20万円超 | 必要 | 確定申告をすれば自動で連携(別途の申告は不要) |
「20万円以下だから何もしなくていい」は間違いです。所得税の申告が不要なだけで、住民税の申告は必要。また、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をするなら、20万円以下の副業所得も含めて申告します。
② 会社に知られたくない場合
副業分の住民税を会社の給与から天引き(特別徴収)されると、経理担当が気づく可能性があります。確定申告書の第二表「住民税に関する事項」で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと、副業分の住民税は自宅に納付書が届く形になります。ただし自治体や状況によって普通徴収にならないケースもあるので、心配なら市区町村の税務課に事前確認を。なお、就業規則で副業が禁止・届出制になっていないかは別途確認してください。
③ やり方(初めての人向け)
- 1年分の収入をまとめる——YouTube Studio/AdSense、Twitch、事務所の支払明細などから月ごとの金額を集計。事務所などから源泉徴収(10.21%)されている報酬があれば、申告で還付されることが多い
- 経費をまとめる——レシート・注文履歴・通信費の明細。家賃や電気代は配信に使った割合だけ
- 会社の源泉徴収票を用意(12月〜1月に会社からもらう)
- e-Taxで作成・送信——国税庁「確定申告書等作成コーナー」にスマホ+マイナンバーカードでログイン。副業分は「雑所得(業務)」として収入と経費を入力。帳簿をつけて事業として行っている場合は「事業所得」
- 住民税の納付方法を「自分で納付」に(②参照)→ 送信 → 3月15日までに納付
根拠: 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 / No.1906 給与所得者がネット取引などで副収入を得た場合 / 文京区(普通徴収の選択) / No.2795 源泉徴収(原稿料・出演料等) / e-Tax(個人)
🏠 成人済みで、配信が本業
給与がない人は、1年の所得が基礎控除(令和7年分は所得132万円以下の人で95万円)を超えたら申告義務があります。でも本業の人にとって確定申告は「義務」であると同時に、自分の収入を公的に証明し、税金を減らすための道具でもあります。
① なぜ申告するのか
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 義務だから | 申告しないと無申告加算税(自主的に後から出せば5%、税務署に指摘されてからだと15〜30%)と延滞税(令和8年は年2.8%〜9.1%)が上乗せ。プラットフォームからの支払記録は残るので「バレない」は前提にしない |
| 収入の証明になる | 申告をもとに「所得証明書」が出る。部屋を借りる・ローン・クレジットカード・保育園・各種給付はこれが無いと進まない |
| 税金が戻る・減る | 事務所報酬の源泉徴収分の還付、経費の計上、青色申告の控除、国民年金・国保・iDeCo・小規模企業共済などの控除はすべて申告があって初めて効く |
| 社会保険の計算の元になる | 国民健康保険料は前年の所得で決まる。申告が無いと軽減措置も受けられない |
② 本業なら「青色申告」を検討する
帳簿をきちんとつける代わりに、大きな特典がもらえる制度です。配信を事業として続けるなら、ほぼ必須と考えてよいレベル。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 青色申告特別控除 | 複式簿記+e-Tax提出で最大65万円を所得から引ける(簡易な帳簿なら10万円) |
| 赤字の繰越 | 機材をそろえた年の赤字を翌年以降3年間の黒字と相殺できる |
| 機材を一括で経費に | 30万円未満の機材はその年に全額経費(令和8年4月以降の購入は40万円未満に拡大、年300万円まで)。白色なら10万円以上は数年に分割 |
| 家族への給与 | 配信を手伝う家族への給与を経費にできる(専従者給与・要届出) |
青色申告は事前の届出が必要です。「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に出し、申請はその年の3月15日まで(1月16日以降に開業した人は開業から2か月以内)。出し忘れた年は白色申告になります。どちらも e-Tax か税務署窓口で、手数料はかかりません。
③ 本業ならではの注意点
- 帳簿と領収書は7年保存。白色申告でも記帳・保存の義務があります。メールで届く請求書・明細などの電子データは電子のまま保存(電子帳簿保存法・2024年1月〜)
- 消費税:2年前の課税売上が1,000万円を超えると課税事業者に。インボイス登録は任意ですが、登録すると売上にかかわらず消費税の申告が必要。YouTube等の海外プラットフォーム収益の扱い(輸出免税になるか)は判断が分かれるので売上が大きくなってきたら税理士に相談
- 国民健康保険・国民年金に自分で加入。年金は令和8年度 月17,920円。所得が低い年は免除・猶予の申請ができる
- 節税の定番:小規模企業共済(掛金が全額控除・月1,000円〜)、iDeCo(年金の納付猶予中は加入不可)。どちらも「払った分だけ所得から引ける」仕組み
- 収益の波に備える:税金・保険料は翌年に請求が来る。稼いだ年の翌年に収益が落ちると払えなくなるので、収益の2〜3割は手をつけずに取っておくのが鉄則
根拠: 国税庁 No.2020 確定申告 / No.1199 基礎控除 / No.2024 無申告加算税 / No.2070 青色申告制度 / 青色申告承認申請 / No.6501 消費税の納税義務の免除 / No.2080 白色申告者の記帳・記録保存 / 日本年金機構(国民年金保険料)
📋 まとめの早見表と相談先
| あなた | まず気にする数字 | やること |
|---|---|---|
| 学生・親の扶養 | 配信の所得 58万円(19〜22歳は123万円まで段階控除)/健保 130万円(19〜22歳 150万円) | レシート保存、超えそうなら親に相談、必要なら自分で申告 |
| 社会人の副業 | 配信の所得 20万円 | 超えたら確定申告、以下でも住民税申告、普通徴収の選択 |
| 本業 | 所得が基礎控除超なら申告義務/売上 1,000万円で消費税 | 開業届+青色申請、帳簿、国保・年金、収益の2〜3割を確保 |
| 相談先(無料) | 内容 |
|---|---|
| 国税庁 税についての相談窓口 | タックスアンサー(よくある質問)、チャットボット、電話相談、税務署での面接相談(予約制) |
| 確定申告書等作成コーナー | 画面の案内に沿って入力するだけで申告書ができる。スマホ+マイナンバーカードで送信まで完結 |
| 日本税理士会連合会 | 各地の税理士会の相談事業。本業で売上が増えてきたら、税理士に依頼する費用も経費になる |
迷ったら税務署に電話するのが一番早いです。「配信の収益が◯円あって、学生で親の扶養なんですが」と状況を話せば、無料で教えてくれます。税務署は怖い場所ではなく、申告の仕方を教えるのが仕事の人たちです。